2012年06月28日 23:34
津波で気仙沼市鹿折地区に打ち上げられた大型漁船
震災直後 津波と火災で取り残された大型漁船
震災で行方不明になった親戚の方が1年3ヶ月経ってやっと見つかり、気仙沼に帰ってきました。
気仙沼の状況は震災から1年3ヶ月以上も経ち、少しずつ復興に向けて進んではいますがなかなかその実態は見えて来ません。被害の一番大きかった鹿折地区もかさ上げされた道路に電信柱が立って信号器が設置され、夜になるとその信号の灯りで復興の兆しが見え始めたのかなと思えるくらいです。闇夜で歩くことさえ困難だった道に信号の灯りが灯るだけで、少し安堵の気持ちになったのは私だけではないと思われます。
復興が進む町の中に取り残されたように、道路脇に大きな漁船が一艘横たわっています。
大きな船が津波で打ち上げられる時、自分の家が壊されていく様を見ていた方にはこの船が魔物のように見えたと思います。その方達は早く撤去してほしいと思っているでしょう。しかし、震災の教訓として保存してほしいと言う方もいます。あの日の忌まわしい惨状は心に深く刻み込まれていることは確かで、その出来事や思いを風化させてはならないという思いもあり、解体か保存か賛否両論ある難しい状況のなかで何も言わずにじっと船は佇んでいます。
瓦礫は撤去されましたが、町の復興は思うように進んでいません。一日も早い復興を望んでいる町の人たちの思いがこの船に託されているようです。
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